いよいよ本編ラスト。
Bist du bei mir ~あなたがそばにいれば~
J.S.Bachの後妻であったアンナ・マグダレーナに捧げられた「アンナ・マグダレーナの音楽帖」に掲載されているこの楽曲。
平易ながら心に訴えかけるメロディは実はバッハの作曲ではなく、シュテルツェルのアリアが原曲になっているとされています。
このシュテルツェル、ファーストネームが「ゴットフリート」だったりする。
イザーク(の源氏名)じゃん。。。
メロディも素晴らしいのですが、なんといってもこの曲に付された歌詞の世界観が「オルフェウスの窓」というかユリちゃんの願ったことにぴったりだなと、このシリーズを書く前からずっと思っていました。
ちなみにユリちゃんの世界観を表しているな~と思う曲がもう一曲ありまして、そちらはシリーズの中間あたりで採り上げましたパーセルのオペラ【ディドとエネアス】の中のアリア「私が大地に横たわるとき」でした。
こちらはいわばB面といったとこでしょうか。。。
ちなみにこの二曲、映画にも使われています。
「Bist du bei mir」 は「戦場のアリア」で、そして「私が大地に横たわるとき」は「耳に残るは君の歌声」で。
スクリーンで耳にしたことある方も多いのではないでしょうか。
曲のことばっかり書いちゃった。。。。
とうとう旅立った二人。
二人手に手をとって。
人生の終焉であっても二人であれば、あなたがそばにいれば、きっとそれは大いなる祝福だったのではないかと思います。
残された人にとっては…うーん。しばらく大きな喪失を抱えたと思いますが。
でも時が経って二人の最期を「あの二人らしいね」と在りし日の二人の思い出とともに語り合ってくれていればいいなぁと思います。というか、きっとそうなっているんじゃないかな。。
リョーニャとファビアンとその子供たちと。。
ユリちゃんとアレクセイはこの世界に別れを告げて旅立っていったけれど、二人の残した物語は彼らが残した子や孫や、それから生前彼らと縁のあった人たちへと受け継がれ広がりずっと続いていくものと
思っています。
ある人はヨーロッパを出てアメリカボストンへ。ある人はルーツであるレーゲンスブルクへ。そしてある人はベルンで、そしてハリウッドへ、そしてヨーロッパのずっと東、ユーラシアの東端日本で。。。
枝葉は広がり時に花が咲き、果実が実り、様々な物語を今もなお紡ぎだしているのでないでしょうか。