サンデュ家の長女アニエス、ユリちゃんに出会う。
離婚から2年が経過し、1914年となりました。
世間ではサラエボ事件が勃発、第一次世界大戦がはじまっております。
一方でユリちゃんの元婚家、サンデュ家ではリーザのおばあ様、つまりユリちゃんの元義母の方がお亡くなりになったようです。
その最期のお別れにフランクフルトのサンデュ家を訪れたユリちゃんとリーザ。
そこで出会った元夫の新しい家族。
殊に家族の中でどこか浮いた存在の長女アニエスのことがどうもユリちゃん気になるようです。
同じ痛みを心に抱える二人。
この出会いは必然だったのかもしれません。
リーザは優しいアニエスにべったり懐いているようです。
こんばんは
リーザちゃんの異母姉アニエスが修道院から迎え入れられながらも、本当の家族の中で疎外感を感じているのが伝わってきて、読んでいて複雑な気持ちになりました。。。
跡取り息子ジャン・クロードを大事にするのは当たり前ですが、十四年間も修道院へ押し込められていた長女アニエスに対して両親の思いやりのなさに、感受性に欠けるというか、想像力が足りないというか、彼女の多感な傷ついた心を考えてみたことなんてないのかしら。。。
アニエス=純潔 という名前は何の仕打ちですか。ユリちゃんが彼女の存在を知らなければ、離婚を選ばず、シャルロットさんが産んだ長男をサンデュ家で立派に薫育した未来だってあったと私は思うのです。ユリちゃんを離婚へと決意させたのはこの境遇におかれた少女に自分の実の父から棄てられた過去の痛みを投影させたからだと思ったものでした。。。
アニエスの認証欲求の葛藤が悲しかった…
>他人よりも隔たった心の距離
>新生サンデュ家の厄介な腫れ物…そんな存在が私だった
アニエスの哀しみに満ちた自己の存在は彼女が聡明であればあるほど、彼女の優しい心を澱のように侵食していったでしょうから。。。
でも、ユリちゃんとリーザちゃんに逢い、自分の心の根っこみたいなものをつかみ取ることが出来た!
自分の人生を諦めず、流されず、強く生きようとするアニエスの姿に、人に影響を与えるのは、血の繫がる両親ではなく、自分に浅からぬ因縁のあるユリちゃんが心から心配し、アニエスの幸せと人生の前途を心から祈っているからですね。第三者の冷静かつ適切な助言が影響を与えることって多いですね。
読んでいて、アニエスのこの洞察力忍耐力は看護師さん向きではないかしら。
彼女の人生は彼女のもの、親の都合で勝手に決めてはいけない、この優しい女の子はきっと素晴らしい人生を送るでしょう。それはお嬢様と呼ばれる環境から離脱するかもしれませんが,つつましい修道院での暮らしを経験した彼女には、苦労だとは思わないでしょうから。頑張ってアニエス、自分の人生を
生きましょう。鬱屈としたサンデュ家で優しい心を萎れさせないで、明日に向かって生きましょう!!